Ann Rheum Dis. 2020;annrheumdis-2020-217162.
2019年SLE分類基準の検証コホート研究
SLEにはACR1997年基準・SLICC2012年基準が存在したが、感度特異度の問題があり、2019年ACR/EULAR基準にアップデートが施された。
この基準を実症例に対して検証コホートを実施し、人種間・性別間・罹病期間での差がないかどうかを検証してみた
⇨特に大きな差はなく、以前の基準よりも優れていた
2019年基準は、1997年基準よりも感度に優れ、2012年基準よりも特異度に優れる
16か国・21ヶ所のSLEセンターでの症例計1270人に当てはめてみた
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性別…男女ともに良好な感度/特異度あり
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罹病期間…どの期間であっても良好な感度/特異度あり
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罹病期間ごとの症状の差
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発症早期(3年以内)では口腔潰瘍、非瘢痕性脱毛症、胸膜/心嚢液貯留が多い
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発症5年以上では、急性皮膚ループス、関節炎、痙攣発作、心膜炎、白血球減少症、腎炎(classⅢ/Ⅳ)が多い
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※言うほど差はないような気はするが…
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人種…どの人種でも良好な感度/特異度あり
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アジア人でも1997年基準と比較して感度が高くなっている
(結論)
2019年基準は、1997年基準よりも感度に優れ、2012年基準よりも特異度に優れる
(感想)
SLE1997年基準は11項目中4項目あればいい、ということでシンプルであったがシンプル故に感度が低いという問題を抱えていた。
感度を上げるためにSLICC2012はできたが、特異度は下がった⇨感度特異度を両立するために2019年基準ができた。
特徴としては
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抗核抗体をスクリーニング基準に採用
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症候を加点方式にした という2点
欠点としては
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計算が複雑
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抗核抗体陰性のSLEは無視 という2点
このコホートを見ると、感度の大幅上昇が裏付けられており、初期のSLEでも拾われやすくなっているということがわかる
⇨今までの基準の中では一番非専門医が使う上では優れているようには思える
あくまで「診断基準」ではなく、研究で用いるための「分類基準」であるという点だけは忘れてはならない。