膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

関節リウマチ患者の肺炎予後

 Prognosis of pneumonia in patients with rheumatoid arthritis: the role of medication and disease activity prior to admission a population-based cohort study.

RMD Open. 2020;6(1):e001102. doi:10.1136/rmdopen-2019-001102
 
RA患者は一般人口よりも感染症リスクが高いことはよく知られているが、予後はどうだろうか?
⇨正直あまり変わりない
 

 

方法:人口別コホート研究(デンマーク)。RAの肺炎患者/非RAの肺炎患者と死亡率の間でのHRを計算
  • RA患者では、PSL含めたRA薬の予後効果
  • 入院前のRA活動性を入院の30〜180日前に測定したCRP,Pltで評価
結果
  • 52577人の肺炎患者のうち1220人(2.3%)にRA合併あり
  • 90日間の死亡率は、RA患者で19.9%、非RA患者で18.9%
    • 調整後HRは1.05(95%CI 0.92-1.19)
    • ⇨有意差なし
    • 30日後、90日後死亡率ともにRA/非RA群で差なし
  • RA患者間
    • CRP≥20mg/Lは、CRP<8と比較して90日死亡HR4.98
        • Plt、CRP値がRAの活動性とどれくらい関わりあるかは置いておいても、死亡率と相関している。
    • メトトレキサート単剤療法と比較して、プレドニゾロン(HR 1.43(95%CI 0.91から2.22))とRA治療なし(HR 1.35(95%CI 0.85から2.14))はどちらも90日死亡率が高い傾向あり(有意差なし)
    • プレドニゾロンを使用した患者(HR 3.09、95%CI 1.25〜7.65)と使用しなかった患者(HR 2.35、95%CI 0.94〜5.87)両方で、CRP高いことは低い場合よりも死亡率増加傾向あり⇨RAの活動性と相関
結論
  • RA自体が死亡率を上げるわけではないが、疾患活動性との相関はある?
 
(感想)
RAはRA-ILDを始めとした特殊な肺炎を起こしやすい。しかしRA患者の肺炎時の死亡率が高いわけではない、というのは納得できる。
活動性との相関に関しては、正直微妙。IL-6i(トシリズマブなど)を使用すればCRPとの相関はなくなるだろうし、そもそもCRPとPltだけでRAの活動性を評価するのは無理があるのではなかろうか?
PSLが肺炎のリスクということは当然として、bDMARDs使用時の肺炎死亡率は非常に低かったということは記憶するに値する。