不明熱の三大要因といえば
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悪性腫瘍
がある。
悪性腫瘍のうち、多く有名なのは悪性リンパ腫だが、固形癌のうち多いのは肝細胞癌・腎細胞癌(Renal Cell Carcinoma: RCC)である(Arch Intern Med. 1989;149(8):1728-30)。
腎細胞癌患者の最大20%に発熱症状があるとされ、夜間盗汗・食欲低下・体重減少といった症状を伴う。
腎細胞癌はCRPが上昇する悪性腫瘍としてもよく知られている。腎細胞癌におけるCRP高値は、予後不良因子とされており(Expert Rev Anticancer Ther. 2010 Dec;10(12):1979-89.)、他の固形腫瘍と比較してその相関が強いことはSystematic Reviewでも示されている。(PLoS One. 2015;10(12):e0143080.)
腎細胞癌でCRPが上昇する原因ははっきりわかっていないが、腎細胞癌患者の腫瘍細胞・非腫瘍細胞共にIL-6mRNAの発現が上昇していることがわかっており(Kidney Int。2005 11月; 68(5):2103-10。)、そのためかもしれない。
通常のPMRで異なる点として
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長時間の朝のこわばりがない
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ステロイドへの反応性が弱い
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エコー所見で滑膜包炎がない
という点が挙げられた。(7症例の検討でしかないので注意)
(感想)
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よくわからない発熱・炎症反応高値で発見されうる悪性腫瘍として多いものに腎細胞癌がある
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腫瘍随伴症候群に伴う関節痛とPMRに関連した腫瘍は混同されがちだが、治療方針が大きく異なるので、注意が必要
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腎細胞癌は急速進行するものもあれば、数年単位で緩徐進行するものもあるため、発熱・関節痛といった症状からPMRと初期診断しても、治療効果乏しいなら腎細胞癌を頭に入れたほうがいいと思われる
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また腎細胞癌は治療後、長期間(数十年)経過しても再発しうることが知られているので、PMRを疑う患者に腎細胞癌治療歴がある場合は積極的に疑うべきだろう