膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

画像問題:両肩関節痛

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(Rheumatology (Oxford), 58 (9), 1616 2019 Sep 1)
32歳女性、原因不明のCKDで透析中(不定期)。
1ヶ月前からの両肩関節痛で受診。
 

 

膠原病・脊椎関節炎の既往なし
貧血・両肩可動域制限
採血
  • 軽度貧血
  • ESR70
  • 血清クレアチニン610μmol/L(normal44.2-114.9).(※日本慣用単位6.9mg/dL)と高値
  • 血清カルシウム2.4mmol/L (normal2.2-2.7)(※日本慣用単位9.6mg/dL)
  • 血清リン上昇…2.58 mmol/L (normal0.80-1.45)(※日本慣用単位8.00mg/dL)
  • PTH上昇…1036 ng/L (normal 15-65)
  • Ca/P積上昇…75.2(mg/dl)^2(正常値<55)
  • RF,ACPA, ANA, HLA-B27は陰性
  • CTで肩関節周囲・頚椎に石灰化像あり
診断は?
 
 
 
A.高リン血症に伴う石灰沈着性関節炎(異所性石灰沈着症)
慢性腎不全に伴う高リン血症によって塩基性リン酸カルシウムが肩関節に沈着したことが原因と考えられた。
 
  • 食事指導(リン制限食)・リン吸着薬・維持透析条件変更での治療を実施し、改善を得た。今後、腎移植を目指す方針となった。
 
透析患者患者における肩関節炎の鑑別は色々あるが、例示するなら以下の通り。
  • アミロイド性滑膜炎
  • 骨嚢腫
  • 異所性石灰沈着
  • 腱板炎・腱板変性断裂
副甲状腺機能亢進症・透析等によって起こる高リン血症は、リン酸カルシウム結晶の沈着を起こす。肩関節は比較的報告の多い場所であり、注意が必要(Scanning Microsc 1992:6(3);796-7)。
画像診断が主で、Xp等で石灰沈着疾患を除外する必要がある。
 
まとめ
・透析患者の肩関節痛は、異所性石灰沈着症を考慮する