膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

口腔内病変と全身性疾患

zOral Manifestations of Systemic Disease
Am Fam Physician. 2010 Dec 1;82(11):1381-1388.
 
膠原病と口腔内潰瘍病変は結構関係するが、その復習。
 

 

 
臨床所見
疾患
口腔内症状
補足
粘膜蒼白萎縮
悪性貧血
萎縮性舌炎

粘膜症状
口腔内粘膜蒼白は評価困難の場合あり
口腔病変
扁平苔癬
びらん性:びまん性紅斑・線条があり、痛みのある潰瘍
網状:両頬粘膜の白色レース線条
症状あれば、ステロイドの局所ゲルまたはリンスで治療
 
エリテマトーデス
口腔円盤病変

紅斑、点状出血、不規則な形の潰瘍、口唇炎
DLE(円板状エリテマトーデス)において、粘膜病変がない症例では口腔内病変はめったに起こらない
 
良性粘膜性類天疱瘡
びまん性・有痛性口腔内潰瘍
破裂していない水疱が見られる場合あり
 
尋常性天疱瘡
びまん性・有痛性口腔内潰瘍
Nikolski現象陽性

口腔内病変が皮膚症状に先行する場合あり
全身治療実施しても、皮膚病変より口腔内病変のほうが改善しにくい場合あり
 
びまん性粘膜腫脹
石畳状粘膜
歯肉炎・深い線条潰瘍

ポリープ状結節性紅斑

”カタツムリ痕状”潰瘍
アフタ性潰瘍
全身治療で改善するが、持続性潰瘍にはステロイド局所投与に反応する場合あり
 
Behçet病
再発性有痛性アフタ
多発し、特に軟口蓋・中咽頭に多い
口腔内病変が初期症状の可能性があり
粘膜色素沈着の変化
アジソン病
びまん性メラニン色素沈着

びまん性メラニン色素沈着の鑑別は
・民族性色素沈着
・タバコ、薬物
・1型神経線維腫(NF1)
McCune-Albright症候群
Peutz-Jeghers症候群
歯周炎・出血
糖尿病
歯肉炎、歯周炎

カンジダ症、舌乳頭の萎縮、味覚障害、唾液腺症外、口内炎、創傷治癒遅延
歯周炎治療で糖尿病コントロールも改善しうる
 
HIV関連歯周炎
線形歯肉紅斑
壊死性潰瘍性歯肉炎
壊死性潰瘍性歯周炎
一般的な歯肉炎・歯周炎も起こす
 
血小板減少
点状出血、紫斑病

出血は軽度の外傷だけでなく自然にも起こる
 
粘膜出血、潰瘍、点状出血

歯肉肥大
二次感染(カンジダなど)
急性単球性白血病・急性骨髄単球性白血病で多い
歯の侵食
胃食道逆流症
歯のびらんなど

歯科治療が必要な場合あり
 
神経性食欲不振症
歯のびらん

口腔乾燥症、虫歯の増加、唾液腺症(特に両側性耳下腺の拡大)
歯科治療が必要な場合あり
 
糖尿病に伴う歯周病は第7の合併症友いわれており、DMコントロールとの相関がある模様。
SLEの口腔内病変に関しては後日。