昨日の続き。
2.”Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema of the hands: ultrasound, color doppler ultrasound, and magnetic resonance imaging findings.” (Arthritis Rheum. 2005 Apr 15;53(2):226-33. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/art.21067)
結果:全患者が超音波・MRIの両方で対称性の皮下浮腫+腱/指関節の滑膜炎があった。皮下における腱鞘の血管分布はMRI・造影カラードップラーで検知された。血管増生の検知能は造影カラードップラーでは、非造影カラードップラーと比較して優位に改善した(p<0.01)
こちらは8名の患者に対して施行。
走査部位は
-
第2−4指の屈筋/伸筋腱
-
手掌側/背側の皮下組織
と上肢に絞っている。
特徴的なのが造影カラードップラーで、造影剤を1ml/minの低速で注入することで、最大20分間のコントラスト強調が可能となっている。(日本では心臓・肝臓等では使用されているが、関節に関しては保険未収載)
図1:63歳女性
-
A:手関節短軸像、軟部組織浮腫
-
B:カラードップラー、血流のある皮下肥厚(Grade1)
-
C:造影カラードップラー、皮下組織の血流増加
-
D:MRIT1、Axial、皮下液の増加(白矢印)、伸筋組織の肥厚(黒矢印)
-
E:造影MRI:皮下液の増加(白矢印)、伸筋組織の肥厚(黒矢印)
図2:57歳の患者
-
A:PIP関節、低エコーの滑膜肥厚
-
B:カラードップラー、PIP関節にgrade1の血流
-
C:造影カラードップラー、PIP関節にgrade2の血流増加
-
D:カラードップラー、尺側手関節皮下組織にgrade1の血流増加
-
E:造影カラードップラー、尺側手関節皮下組織にgrade3の血流増加
カラードップラーで8人中5人(62.5%)に皮下軟部組織の血管新生あり。(図1B・図2D)
図3:57歳男性、MRI
Table1
-
CDUS:カラードップラー超音波。
-
明らかに非造影よりも造影カラードップラーの方が血流検知に優れる。
Table2
-
カラードップラーでの血流増加が多いのは皮下組織・腱鞘>関節
-
造影カラードップラーの方が、非造影よりも血流感知に優れる
Table3
-
炎症性変化の検出能は造影カラードップラーとMRI検査で同等。
Table4
-
所見の頻度的に多いのは、伸側腱鞘肥厚、次いで皮下組織肥厚
-
非造影カラードップラーと比較して造影カラードップラー・MRIは検出能が高い
Discussionn
-
炎症による関節液の検出において、造影カラードップラーは非造影カラードップラーよりも優れており、MRIとよく相関している
-
RS3PEの皮下組織肥厚の原因ははっきりしていないが、炎症に伴う「小血管の鬱血」によって組織液が皮下に漏れ出ることによって起こっていると思われる。
(感想)
造影カラードップラーは(おそらく)日本ではできないので、関節エコーで評価困難なRS3PE疑いはMRI撮る方がより正確な評価が可能と思われる。
見るべき部位は
-
手指伸筋腱鞘
-
手背/手掌皮下浮腫
で、そこに血流増加があるとよりそれらしいということは覚えるに値すると感じる。
まとめ
-
RS3PEの画像検査はエコー<MRI
-
手指伸筋腱鞘・手背/手掌皮下組織の低エコー・カラードップラーでの血流増加 が重要な所見。