膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

画像:指先の異常

MKSAP正答率38%

診断は?
 

 

 
A.強皮症に伴う指尖部潰瘍
強皮症はレイノー症状を起こす疾患の代表格である。強皮症は指尖部の血管障害を起こし、その結果四肢末梢の血流障害を起こす。それが「レイノー現象」として表現される。この虚血の進行によって指先の潰瘍形成を起こす。原発レイノー症候群では、指尖部潰瘍は起こり得ない。
 
  • 検査としては「ダーモスコピー」による爪周囲血管の構造異常の発見が有用。(↓Clin Rheumatol. 2019 Aug 16. doi: 10.1007/s10067-019-04745-5. より引用)
  • びまん皮膚硬化型強皮症(皮膚硬化が肘/膝を超える強皮症)・Scl-70抗体陽性患者では指尖部潰瘍が早期合併しやすく高頻度
    • (Ann Rheum Dis. 2012 May 1; 71(5): 718–721.)
      • 指尖部潰瘍を起こした強皮症患者2439人を解析。
      • 指尖部潰瘍患者の内ほぼすべての患者(95.7%)が抗核抗体陽性、Scl70抗体45.2%、抗セントロメア抗体43.6%
 
  • 潰瘍形成部位は指尖部が多いが、PIP/MP関節にできることもある。
  • 多いのは母指・示指
    • (Dermatology, 187(2), 104–108.)
        • 87例の進行性の強皮症における潰瘍形成部位
 
まとめ
・強皮症の症状として「指尖部潰瘍」がある
・見つけるポイントは爪周囲の毛細血管・レイノー現象