膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

両肩関節痛のある患者におけるPMR/RAに対する関節エコーによる鑑別

Ultrasound assessment of new onset bilateral painful shoulder in patients with polymyalgia rheumatica and rheumatoid arthritis

Clin Rheumatol. 2012 Sep;31(9):1383-7.
肩関節エコー実践編のデータ
基本編は↓参照(10/24内容更新しました) 

ctd-gim.hatenablog.com

 

両側肩関節痛の出現したPMR・RA患者と片側肩関節痛のある非リウマチ患者を比較。(PMR/RAは治療中の患者)
 
・肩峰下滑液包/三角筋下 ( subacromial-subdeltoid:SAD)滑液包
上腕二頭筋長頭腱 (long head biceps:LHB)滑膜
・肩甲上腕関節(gleno-humeral:GH)滑液包
の3ヶ所に関しての滑液包炎/滑膜炎を評価した。
 
片側性肩峰下滑液包/三角筋下滑液包炎・上腕二頭筋長頭腱腱滑膜炎はPMR>RA・コントロール
片側性肩甲上腕関節滑膜炎はRA>PMR・コントロール
 

 
 
両側性SAD滑液包炎・LHB腱滑膜炎はPMR>RA
両側性GH滑膜炎は有意差なし

 
(考察)
・もともと両側肩峰下滑液包/三角筋下滑液包がPMRに多いこと、肩甲上腕関節滑膜炎がEoRA>PMRであること等は知られている。
・これまでの研究は治療介入前の患者に対しての研究であったが、この研究はPMR/RAとわかっていて最近両側肩関節痛が起こった患者で実施しているというのが特徴的。
・limitation:所見のある/なしのみで判断しており、詳細な炎症状況が不明。他の研究と比較して所見のある確率が低いが、これは治療を受けている患者のためかもしれない。ドップラーでの評価は実施していない。
 
(感想)
こういう傾向がある、ということを知っておくことが役に立つと思われる。
・実際、両側肩峰下滑液包/三角筋下滑液包・上腕二頭筋長頭腱に所見があって手指に所見がないと、「PMRかも?」と思っていたがなんとなくその感触と一致する印象。
・肩甲上腕関節をサボる傾向が続いていましたが、反省しようと思いました。片側肩甲上腕関節滑膜炎がRAに多い所見、というのは頭に入れておくべき。
・だが、両側肩峰下滑液包/三角筋下滑液包・上腕二頭筋長頭腱にしか所見のないRAというものももちろん存在するので、総合的な判断であることを忘れてはいけない。ただ、そういうRAは治療中にわかってくることが多いような気もするが…
 
(まとめ)
・両側性も片側性も、肩峰下滑液包/三角筋下滑液包炎・上腕二頭筋長頭腱腱滑膜炎はPMR>RAの所見
・ 片側性肩甲上腕関節滑膜炎はRA>PMRの所見
・エコーだけで決まるわけではないが、データは覚えておく価値がある。