膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

PMR(リウマチ性多発筋痛症)とEoRA(高齢発症関節リウマチ)

よくある問題のまとめとして。何回かに分けてまとめたい。

 

高齢者の「全身が痛い」+「炎症反応高値」の鑑別として常に議題に上がるのがPMR(リウマチ性多発筋痛症)とEoRA(elderly-onset rheumatoid arthritis : 高齢発症関節リウマチ)となる。(勿論、感染症・内分泌疾患を除外したあとだが。)

 

PMR(リウマチ性多発筋痛症)の診断基準として現在よく用いられるのは、↓の2012ACR基準である。

f:id:CTD_GIM:20191012201422p:plain

(訳はhttps://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_18.html 引用)

ただPMR同様に高齢者に多いEoRA(elderly-onset rheumatoid arthritis : 高齢発症関節リウマチ)が重要な鑑別となる。

よく言われる鑑別点は以下の2つ

1. 抗CCP抗体の有無

・EoRAと比較してPMRは抗CCP抗体陽性例は少ない…EORAの65%が抗CCP抗体陽性に対して、PMR患者に陽性例はいなかった。(Rheumatology (Oxford). 2004 May;43(5):655-7.

2. 罹患関節が異なる

・PET画像の検討:PMRは股関節が多く、EoRAは手関節が多かった。(Mod Rheumatol.2015;25:546

 

あえてもう1つ言えば

3.ステロイドへの反応性

・PMRはステロイドに対して迅速に反応し改善を得るが、EoRAは緩徐な反応を示し漸減が困難なことが多い。(Rheumatology (Oxford). 2009 Feb;48(2):93-5.)

 

一応まとめると↓の図が適していると思った。

f:id:CTD_GIM:20191012184957p:plain

https://www.slideshare.net/Noboru_Hagino/ss-52734417 より引用)

 

 ただ実臨床ではこの鑑別が困難。とくにseronegative RA(SNRA:RF/CCP抗体陰性のRA)の場合掴み所がないことが多い。

 一応関節エコー(Scand J Rheumatol. 2011 Jan;40(1):57-63.)、PET-CT(PLoS One. 2016; 11(7): e0158509.)での鑑別が提案されているが、初期診断での鑑別が困難な場合が多い印象。初期診断がPMRでも2-30%が後にRAが診断されるとされる。Lancet. 2017 Oct 7;390(10103):1700-1712.)

 

だからこそ、「PMRとしてフォローしていたが何かおかしい」という症例はぜひ見直しすべきと思われる。

↓のフローチャートが臨床的で勉強になったので参考までに紹介。

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Clin Rheumatol. 2014 26:201-6 より引用)

 

まとめ

・PMRとEoRAの鑑別は決定打があまりなく、非常に難しい