よくある問題のまとめとして。何回かに分けてまとめたい。
高齢者の「全身が痛い」+「炎症反応高値」の鑑別として常に議題に上がるのがPMR(リウマチ性多発筋痛症)とEoRA(elderly-onset rheumatoid arthritis : 高齢発症関節リウマチ)となる。(勿論、感染症・内分泌疾患を除外したあとだが。)
PMR(リウマチ性多発筋痛症)の診断基準として現在よく用いられるのは、↓の2012ACR基準である。
(訳はhttps://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_18.html 引用)
ただPMR同様に高齢者に多いEoRA(elderly-onset rheumatoid arthritis : 高齢発症関節リウマチ)が重要な鑑別となる。
よく言われる鑑別点は以下の2つ
1. 抗CCP抗体の有無
・EoRAと比較してPMRは抗CCP抗体陽性例は少ない…EORAの65%が抗CCP抗体陽性に対して、PMR患者に陽性例はいなかった。(Rheumatology (Oxford). 2004 May;43(5):655-7.)
2. 罹患関節が異なる
・PET画像の検討:PMRは股関節が多く、EoRAは手関節が多かった。(Mod Rheumatol.2015;25:546)
あえてもう1つ言えば
3.ステロイドへの反応性
・PMRはステロイドに対して迅速に反応し改善を得るが、EoRAは緩徐な反応を示し漸減が困難なことが多い。(Rheumatology (Oxford). 2009 Feb;48(2):93-5.)
一応まとめると↓の図が適していると思った。
(https://www.slideshare.net/Noboru_Hagino/ss-52734417 より引用)
ただ実臨床ではこの鑑別が困難。とくにseronegative RA(SNRA:RF/CCP抗体陰性のRA)の場合掴み所がないことが多い。
一応関節エコー(Scand J Rheumatol. 2011 Jan;40(1):57-63.)、PET-CT(PLoS One. 2016; 11(7): e0158509.)での鑑別が提案されているが、初期診断での鑑別が困難な場合が多い印象。初期診断がPMRでも2-30%が後にRAが診断されるとされる。(Lancet. 2017 Oct 7;390(10103):1700-1712.)
だからこそ、「PMRとしてフォローしていたが何かおかしい」という症例はぜひ見直しすべきと思われる。
↓のフローチャートが臨床的で勉強になったので参考までに紹介。
(Clin Rheumatol. 2014 26:201-6 より引用)
まとめ
・PMRとEoRAの鑑別は決定打があまりなく、非常に難しい