A 62-Year-Old Woman With Fever and Exanthema.
J Clin Rheumatol. 2019 Oct;25(7):e106.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31577654?dopt=Abstract
Imageより、典型症例だが基本事項確認を兼ねて。
62歳女性、フィリピン人、2週間の悪寒・関節痛・咽頭痛・乾性咳嗽・頸部リンパ節腫脹を伴う発熱で来院。
血液データ:
正球性貧血
好中球優位の白血球増多
血小板増加
肝酵素上昇(AST50, ALT136, γGTP357, ALP151)
炎症反応高値(CRP13.29mg/dL、ESR129mm/h、フェリチン5738mg/dL)
微生物検査は陰性:血液培養、HIV/HBV/HCV/梅毒/Chlamydia, Mycoplasma, Coxiella, Rickettsia, Brucella, Echinococcus, Leishmania, Strongyloides
経胸壁エコー・CT正常
生検(頸部リンパ節・骨髄・ 肝臓)をしたが、非特異的炎症反応のみ
診断の過程で、膝にサーモンピンク疹が発熱時のみ発生し、解熱時は消退することに気がついた。
ここでこの症例がStill病の基準である「山口基準」を満たすことに気づき、ステロイド治療で軽快した。
(難病情報センターHPより引用 http://www.nanbyou.or.jp/entry/282)
(感想)
あとから見てみれば典型的な成人Still病といえるが、「皮疹」が出ないStill病というのはなかなか診断しがたい、ということを教えてくれる一例でもあるのかな、と感じた。
定型的発疹とは以下の通り(日内会誌1991, 80:1771より)
隆起の乏しい紅斑が四肢近位・体幹に見られる、というのは非常に「薬疹」に近いので、発熱時のみ出現しすぐいなくなるということを認識し、疑った患者に「熱が出たときにお腹や手足の付け根に皮疹が出ていないか見てください。できれば写真を撮ってください」というのが大事なんでしょう。
生検、特にリンパ節生検は「Stillだ!」と思ったときにこそ有用で、StillではなくMDSであったという例も散見される(Int J Hematol. 1993 Dec;59(1):53-7.など)
まとめ
・成人Still病でも発疹が出てこないor気づかれないことで診断困難となることがある。
・典型的なStillの皮疹の形を把握しておこう。